初めての瓦礫


2ch.辺りでは、ガレージキットを瓦礫と言うのだそうで。
で、このガレージキット、H11頃からでしょうか、買い込んだ艦船系の在庫が結構ありまして、何時か作ろうと思っておりました。まぁ、この手の溜め込みは良くある話ですよね、積読とか、録画して見ないTV番組とか、御多聞に漏れず一向にその「何時か」は中々来ず、かれこれ10年近くが経ちました。
最近、せっせと射出成形品を消化しているわけですが、そこで痛感しているのが加齢性遠視。いやはや、見えません。細かい部品の接着、研削中は近眼鏡が邪魔なのですが、ちょっと先に置いてある組み立て図を見る時は必要。お陰で眼鏡を外したり付けたりとっても煩わしい。艦載艇と揚搭起重機とか組む時なんて大変です。
ここに至って、「ここで着手しないともう作れないぞっ!!」と、重い腰を持ち上げる気になりました。
さて、艦船のガレージキット。概ね、レジンとかキャストと称する樹脂の類を素材とする製品の肝になる主艦体や上部構造物、細かい艤装を製作する為の素材としてのプラ板、プラ棒、真鍮線等で構成されており、レジン、キャスト、真鍮と言った素材は扱った事がありません。
と言う事で、今回、初心者が試行錯誤、悪戦苦闘で作り上げて行く過程を順次展示する事にしました。
同じ様に瓦礫を抱え込んでいる方には、他山の石、転ばぬ先の杖、経験豊富な方は笑い話としてご覧頂ければ幸いです。


H30/12/9展示 墺洪帝國海軍戦艦「フィリブス・ウニティス」製作記録

短時間に突貫工事したので、途中経過、記録と言う程撮影していないのですが、まぁ留意点やら強調点とかあれこれを極く気楽に綴ってみました。
PENTAX istD、f16、ISO200で撮影しました。


1.
先ず、化粧箱から取り出した部品の全体を。この他に汎用の真鍮棒が入っていましたが、そちらは使わず終い。
艦体の左側から梱包袋毎時計回りに、主砲塔&司令塔、煙突、搭載艇甲板、主砲(12吋)&副砲(15cm)&対水雷艇砲(6.6cm)&探照灯、前後檣&起重機、艦橋構造物&艇吊り柱、搭載艇です。
smc PENTAX-A ZOOM 35〜105mm 1:3.5
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2.
先ずは大まかに細かい部品の雰囲気を。
艦体全体はこんな按配で、木張り甲板とか結構表現されています。
smc PENTAX-A ZOOM 35〜105mm 1:3.5
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3.
拡大して細部を見るとこんな感じです。
吃驚したのは、ご覧の通り、葉巻型吸排気管とか、どうやって型から抜くのか理解出来ない構造物が一体化されている事です。もしかして、製造元で、ばらで作ってから、ある程度接着しているんですかねぇ。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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4.
ばらの部品を拡大してみました。搭載艇の吸排気管とかも、一発で抜くのは難しい気がする・・・。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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5.
細かい部品はこんな按配で、薄紙状に埋め込んでます。これを切り出すのが結構事でした。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
4/1(両駒とも)


6.
主砲、副砲、6.6cm砲、探照灯はこんな具合にランナーに取り付けてあります。
探照灯は、設置座面と灯本体を繋ぐ支柱がぼろぼろ折れてしまうので、再建が困難で、一部は既存品を流用しました。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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7.
ここからはあれこれ工作の留意点?変更点??です。
先ず、主砲砲身、同一の12吋砲塔を左から「ドッレドノート」(45口径)、「フィリブス・ウニティス」、「三笠」(40口径)と並べてみました。「フィリブス・ウニティス」のこれは45口径なのですが、両者の中間位しか無い。「ドッレドノート」と同じ長さでもおかしくない筈なのに。
無論、主砲塔内にも砲身長が格納されている訳で、単純に外観の長さだけでは判断できませんが。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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8.
また、型のズレが大きいとか、太さが根元以外は変わらない筈なのに、テーパーしてているとか、砲身には色々突っ込み点が多い為、ご覧の通りφ1mmのプラ棒を軸に、プラ紙を付け根に巻くなどして自作しました。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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9.
前後檣共に下段は、捩れ、曲がりを補正できず、また、後檣は探照灯台が破損とか、あれこれ問題点が有った為、自作で代用しました。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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10.
細かい部品を切り出すとこんな感じでして、ご覧のトラスとか、内側も切り抜くのは地味に大変でした。
TAMRON SP 90mm 1:2.8 72B
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11.
司令塔、前後錨、6.6cm砲を取り付け、また、舷側にも対潜防雷網用支柱も接着済みです。
この後は煙突等取付後、サーフェイサーを塗布して塗装となりました。
smc PENTAX-A ZOOM 35〜105mm 1:3.5
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H30/11/11展示 WWI休戦百周年記念〜墺洪帝國海軍戦艦「フィリブス・ウニティス」

と言う事で、百周年です。
ジュトランドに無関係なフネを作ろうって事にしまして、墺洪帝國・・・って何処だよ。はい、オーストリア・ハンガリー二重帝國ですね・・・海軍の最初にして最後のド級戦艦である「テゲトフ("Tegetthoff")」級の「フィリブス・ウニティス("Viribus Unitis")」を。物は独逸のWSW製の1/700で、かれこれ20年近く前、未だ、P社の「ノースポート」がセンター北に所在している頃に調達したものです。
はまり勤務の明けた直後の9月上旬に着工しました。で、突貫工事。9年前に着工ここ3年程進捗の無い「あやなみ」を追い越して10月末に竣工に漕ぎ付けました。
PENTAX istD、smc PENTAX-A ZOOM 35〜105mm 1:3.5を用いてf16、ISO200で撮影しました。


1.
製品としてはかなり古い部類になるかと思われます。今は「コンブリック」等からも発売されていて、当然後発の方がスターンウォークが実装されているとか、金属部品をふんだんに同梱とか、あれこれ豪華・・・必然的にお値段も豪華・・・になっている模様です。
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2.
艦体の塗装、上甲板は、まぁ木甲板色ですんなり決定ですが、側面や上構については困りました。組み立て説明では、艦体を"hellgrau"にしろと。世艦の写真とか見ると、所詮は白黒なので濃淡しか判らないのですが、もっと濃い感じなのですよね。電網上の作例とか眺めても濃い鼠色系統が多く・・・多くって言っても、ほんの数例ですが・・・散見され、結局妥協するつもりで今回はグンゼの13にしたのですが、これ、ちと濃かったかァ??
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3.
後檣の上部は、組み立て説明上は特に指示が無かったのですが、各国とも普通に行なっている事だし・・・と黒くしました。
で、この後檣、中段の接続構造を間違えました。接木様の部分、上部は艦首側にあるべき所を艦尾側にしてしまいました。やれやれ。
いやねぇ、組み立て図の描き方が判り難くって。ぶつぶつ。
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4.
「アントン、ベルタは前方、反航戦の『ダンテ・アリギエリ』をっ!、カエサル、ドーラは接近中の『アマルフィ』を目標っ!!」・・・みたいな。
と言う事で例の如く、主砲はくるくる回る様にし込みました。また、前後の測距儀も回る様にしたのですが、司令塔側のそれは、背後の航海艦橋の様な構造物が干渉して左右30°程度しか振れないと言う間抜けな事態になってしまいました。
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5.
ちょっと並べてみました。
左から超ド級の英QE級(1915〜)、ド級の「フィリブス・ウニティス」(1912)、前ド級の日「三笠」(M35)です。
「三笠」→「フィリブス・ウニティス」が約10年、「フィリブス・ウニティス」→QEが3年ですから、この艦種が急速にでかくなっていったのが良く判ります。
「フィリブス・ウニティス」はド級艦としては新し目・・・つまり時代遅れ気味・・・ではありますが。
4/1


6.
前後檣は固着させず、収納時は外して高さを押えます。
左下の細かい棒状の物は何か?と言えば、副砲。これも差しただけにしました。いやねぇ、日六六艦隊諸艦の舷側砲、収納時の扱いにホント困っておりますので。
主砲もくるくる回るって事は取り外せるって事ですが、まぁこちらは収納時も取り外す必要は有りません。
使用塗料は、タミヤのラッカーを初の本格的大面積に使用してみました。ちょっと溶剤分が多過ぎ・・・流動性が高過ぎ・・・でして、蓋を開けて暫く放置しないと傾斜面とかは流れてしまいそう。
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H30/5/3展示 ドーッセット言うんシ゛ャー

2年7ヶ月振りの更新です。
しかも、進捗状況は変わっていない。(^^;;;
じゃ何で更新するの??
いやねぇ、アオツマから、「ドーセットシャー("Dorsetshire")」の開発、発売が告知されたのですが、はい、御多聞に漏れず、ピットロードの瓦礫が死蔵されている訳ですね。
やれやれ。どうしたものか。
発売される前(来るH30/8らしい)に竣工させるっ!!
いやいや、こうなったらじたばたせず、アオツマ版と比較して一席打つ位の悠揚迫らぬ態度で待つとか。
11/11にはWWI終結100周年なので、実はそっち方向で何か・・・と考えてあれこれ世艦を紐解いたりしていたので、方針転換して急速建造はちと厳しいなぁ。
悩むねぇ・・・。
H30/8/6追記
予定より早く、7月下旬に店頭に並んだのですが、電網通販の論評?批評??を見ていると、どうも長さ方向の寸法が間違っているらしい。700/700換算で10m程度も短いとか。P社の「神川丸」級で垂線長と全長を取り違えて短くなってしまった例があるけれど、やっちまったか???



1.
と言う事で、死蔵の瓦礫、その化粧箱と言うにはあまりに素朴な意匠が瓦礫感を盛り立てます。
それにしても、良い値段だねぇ。大きさがそれなりに違うとは言うものの、「伊良湖」、「なみ級」よりも3倍近い。今更ながら吃驚です。


2.
中身はこんなん。多分、少なくとも5年振り位で中身確認。
艦体が盛大に反っていたりしたら、一気に決着が付くのですが、そんな気配は無く。
・・・と思ったら、あら??組み立て説明はどうした??どこ行った???
こりゃもしやするともしやするぞぉ。

H27/10/3展示 祝「伊良湖」・・・らしきもの竣工ぉ〜っ!!

と言う事で、先ずは給糧艦「伊良湖」みたいな何か竣工です。素直に嬉しい。
9月は短期的な宮仕えで、それも稼動230時間のはまり案件従事だったのですが、P社の販売計画が手加減してくれる訳でもなく、とにかく射出成型版発売前に竣工させたいと言う事で「あやなみ」を放置してここまで辿り着きました。平日はほぼ22時以降の帰着、土曜もぽろぽろ出勤している中で漸くです。


1.
前回から行なった工程は檣の塗装、ジブクレーン搭載、塗装剥落の補修等です。
ジブクレーン積むと、がらんとしていた甲板が詰まってきて良い感じです。


2.
さて、射出成型の「伊良湖」を買ったものかどうしたものか、思案のしどころです。何しろ只でさえ膨大な積んデルがこの1年で更に増えてしまっていますので。


3.
では、700/700の「伊良湖」の諸元何ぞを。
S16/12/5竣工
S19/9/24大破放棄
基準排水量 9750t
垂線間長 142.5m
最大幅 19m


4.
ところで、ジブクレーン、固着させませんでした。回転する様に軸をさし込んでみました。ギミックとするとともに、艦体が反って来た場合、外して平場に戻し、クリップ等の力点を設ける為です。

H27/9/7展示 最後の追い込み〜プレ最終回になると良いなぁ〜♪

前回同様、無塗装部分が新規に組み上がった部分なのは判るかと。
今回は「伊良湖」に苦戦。いや〜、老眼が厳しい。煙突直前の三脚楼。その横桁に苦戦してしまいました。こちらも元々は真鍮を切り出し済みだったのですが、最早プラ棒で好いやって事で。


1.
ところで「伊良湖」、何とP社より射出成型版の新商品を10月発売と告知されてしまいました。つまり「あやなみ」の二の舞が目前に突然現れた訳で、それ故の進捗促進とも言えます。とは言うものの、H21/4/25展示回で記述の通り『「伊良湖」にしか見えない何か』を作成している訳なので、答え合わせをするのも一興かも知れません。 その『何か』っぷり、今回は、苦戦した三脚楼中段のファイティングトップじみた保塁状の平場。本来はクロスツリーなのだろうなぁ〜とは思うものの、プラ板からあんな形状切り出してちまちまと主檣との横桁張る何て面倒はヤダって事で余剰部品で済ませてしまいました。


2.
これにて、「伊良湖」の残工程はジブクレーンの取り付け。「あやなみ」は第一煙突両舷に搭載艇、第二煙突後方に次発装填用魚雷、短魚雷落射機を検討と言った所でしょうか。それと共通なのは塗装剥れの補修も含めた塗装。
なので。次回は目出度く完工に持って行けそうな気がするのですが、その次回を何時に出来るかが今や大きな課題と言えそうです。
いやねぇ〜、8月末から再び時間に不自由な、財政に若干自由な身分と相成りまして、9月末迄続きそうなので。やれやれ。

H27/7/20展示 「あやなみ」の前檣組み上げ〜真鍮工作に音を上げて

エラく間が空いてしまいました。5年半振りの更新です。いやねぇ、正直真鍮の加工に音を上げておったのです。この間にφ0.5mmとかのプラ棒等の調達も進み、もう真鍮で頑張る必要はないんじゃね?との結論に達しました。
それと、どうも組立説明や700/700の寫眞では構造が良く判らなかったのですよ、「あやなみ」の前檣。でもって、そうこうしている内に射出整形がP社から出てしまった。ならばこれを組んでからお手本にしてしまえっ!!と言う事で、
H27/3/19から展示の
\化石燃料起源の物件\「あやなみ」級護衛艦「うらなみ」竣工
の通り竣工させた訳です。早速前檣をこの「あやなみ」に仮搭載してみたりもしております。で、艦橋の03レベルの後端に前側の脚を乗せる延長架台が無いので直接03レベルに脚を載せる為に若干前寄りに張り出す事としました。


1.
後檣同様に艦体にピンバイスで穿孔し、そこに新田丸型で余剰のデリックを流用して艦尾側の脚を立てます。
また、艦橋03レベルにも前側の脚を立てる為に穿孔しているのが判るかと。


2.
前側の脚をφ1mmの汎用プラ棒で立てると共に、前後左右の脚の関係を固定するため、電探の載る架台を使用して固定します。
この時、ちとしくじってしまい、上下の架台が平行になってくれなかった・・・。
OTL
ま、そんなものでしょう。
それと、横桁を取り付ける為の位置を後脚に罫書きしました。


3.
前後の全てと両側面の最下段以外の横桁をφ0.6mmのプラ棒を用いて取り付けました。


4.
斜桁を取り付ける前に檣のトラス構造の内側を塗装です。いやねぇ、斜桁を取りつけると筆が入らなくなるだろうと思ったもので。また、斜桁に用いるプラ棒は艦体の横にある様に予め塗装しておきます。


5.
斜桁と最下段横桁も取りつけ終了で、前檣の山場は通過しました。あぁ草臥れた。一気に加齢性遠視が進んだ感じです。
残りの作業は、電探や前檣のトラスより上部の構造を作り込んだら修正も含めた塗装とデカールとの水遊びで終了かな?なので、残り1,2回で終わらせられる気がします。


6.
「あやなみ」ばかり進捗するのも何なので「伊良湖」もちょっと作業しました。
甲板上の8基のジブクレーン、デリックに比べてごつくない?って気がして来ました。本来トラスで抜けている構造物が何の彫刻も無いプラ板なので、そりゃそーだな。と言う事で、手前のDのシールの貼っているものの様に、φ1mmのプラ棒を組ませて、且つ全長を縮める事としました。


7.
全基改修終了です。こちらも一部塗装の手直しと単純な三脚の主檣の材質を真鍮からプラに変えて組めば完工かな?なので同様に残1,2回の展示で完工できそう♪

H22/2/7展示 真鍮工作(3)

黒染め真鍮、どうも思い通りに行ってくれていないのですが、何、試行製作な訳です。多少しくじっても気にしないと言う事で、気を取り直して先ずは「あやなみ」の後檣を組んでみる事に。


1.
先ずは、後檣を組む素地です。
2番煙突と後部探照灯台の間の空隙に組み上げます。


2.
0.6mmのピンバイスでさくっと嵌め込み用に穴を開けます。まぁ流石に単なる間っ平らの甲板にすんなりくっ付く事を期待するなんて能天気でも無いので。
因みに、真鍮線φ0.5mmなので、若干余裕がありますが、頂点が上手くくっ付く様に開口している訳でもないので、多少、余裕があった方が幸せだろうと言う判断で選択です。


3.
百均購入の瞬間接着剤であっけなく組み上げです。この上にプラ丸棒から削り出した円形の天板を付けます。
ところで、後檣を選択したのは、一般的に煙突より後部の檣楼は上部ないし全体が黒く塗装しているからですね。なので、この後、塗装に失敗しても一応格好は付くかな?と言う事で。
とは言うものの、本来、艦体の下に敷いている組み立て図の様に横桁や斜桁を入れなければならないのですが・・・どうしよう。この工作は大変だぞ〜〜。
話変わって、33番砲塔辺りの舷側塗装が剥離してしまいました。ここに来て、ちょっした工作器具の衝突等でのこの手の欠損が見掛けられる様になり、些か頭痛の種です。


4.
さて、次は前檣?いやはや、どうしましょうねぇ。塗色と、後檣に比べて各段に複雑で作業規模も大きい点で悩み所です。
一応、添付の他艦キットの前檣を流用しての工作も選択肢としてあるのですが、何れにしても盛大に手間がかかりそう。と言う事で、両案並行で真鍮を切り出すと共に、添付キットの方も塗装し始めましたが、さて、どうなる事か。

H21/12/29展示 真鍮工作(2)

前回で暗礁に乗り上げていた真鍮の塗装、鉄道模型の世界から知恵を拝借する事に。HOゲージ・・・概ね1/80とか1/86・・・のキットって真鍮が多いのですが、実物系の撮影で良く行き会い、お世話になっている横浜在住のY.K.氏から頻々と「ブラスで模型作ろうよぉ〜」と悪魔(^^;;;の誘いを受けておりました。ならば、必然的に彼の御仁は真鍮・・・ブラスってそーゆー意味ですから・・・の塗装方法は認識されているのでは?と思い至った訳です。問い合わせたところ、新橋の模型屋さん「アイアンポニー」で毎週土曜に製作しているので来いと。で、去るH21/4/25・・・って随分前だぞ・・・に、海保観閲式のお流れ一般公開の後に訪ねました。


1.
で、教わったのが、「黒染め液」です。早速自宅近傍の某「エコーモデル」と言う模型屋を訪問したところ、巨大な500ml程ありそうな「黒染め液」が有ったのですが、正直、多分そんなに大量に要らないし、こちらの要件に適合しているかどうか判らないのでちと買えない。高いし。いや〜どうしたものかと思っておりました。
で、時が飛んで去るH21/8月中程に、銀座は天賞堂にてこの写真の製品発見。で、製造元の篠原模型に問い合わせたのが10月、11月になって漸く試行となりました。
製造元曰く、2,3倍に薄めて大物には繰り返し刷毛で塗り付けよ。小物は直接浸せと。真鍮線、小物です。なので、この左上のプラ容器に薄め液を作り浸す事にしました。


2.
右の金色が浸す前の元の色合い、左上が溶液から上げた結果です。ぱっと見良さげだったのですが、この写真では判り難いとは思うのですが、黒く粉を吹いた様な具合になっていて、率直に言って、そのままでは使用不能。それをチリ紙等でぬぐった後が左下です。
因みに、浸していた時間は、正確に計測してはいませんが、ざっと5分は超えなかったかと。


3.
チリ紙で拭う前の状態のものを取り除くと、黒い粉末が残りました。まぁ拭えば黒っぽい地肌が残るのですが、単純な黒い塗料と比べると、ちと、艶とか微妙な色合いが異なっていて、う〜ん、これで良いのかぁ〜と、些か不本意な結果に。なにより大きな問題としては、黒以外の色合いの場合はどうするの?って事です。いやはや、どうしたものでしょう。

H21/10/4展示 真鍮工作(1)

続いて再び難物の素材、真鍮の登場です。


1.
その前にちょっと手戻りを。
「あやなみ」の甲板上の構造物ですが、湯口がついておりまして、こんな按配でした。


2.
で、その湯口の切除ですが、まぁ例示の3個の様にやけに細かい物件のそれは結構大変です。何となれば、プラ素材に比べて硬く、それでいて刃が通り始めると一気に破断してしまい、行き過ぎが止められないからです。素材を必要以上に削りそうになるし、この手の小さい物件の場合は押えている左手迄行ってしまう事もしばしば。


3.
「あやなみ」には、なにやら射出成型の正体不明な部品が付いて来ています。どうも様子を見ると、何処かで発売したDEか駆潜艇の部品の様です。この中から対潜前投兵器や艦橋の一部等を使えとの指定です。


4.
で、その艦橋の使用部品はこれ。と言っても全体が必要なのではなく・・・。


5.
切り取ったこの2つのみが必要だと言う事で、なにやら勿体無いなァ。


6.
真鍮登場です。先ずは試しで塗装編です。
タミヤの各種塗料よりも、全般的にGMのそれの方が、少なくともレジンには付きが良かったと言う認識から、GMのNo.9ねずみ色1号を塗装してみました。


7.
で、「あやなみ」の後檣を製作してみようと。この後檣は三脚構造で、1/700実寸で11mm程の高さ。
ペンチで切断したところ、何と、塗料はぱらぱらと剥離、落下してしまいました。しかも、ペンチの切断では長さの精度が出ず、ご覧の通り、妙に傾斜してしまいました。また、瞬間接着剤ではなかなか接着できず。うーん、思いっきり暗礁に乗り上げた感じです。

H21/9/9展示 上部構造物組み上げ

艦橋やら煙突やら、いよいよ上部構造を組み、艦船模型らしくして行きます。もはや、実験には戻れません。


1.
先ずは「伊良湖」のレジン部品の固着です。
レジンや真鍮の部品は瞬間接着剤で固着が常道の様です。今回は暫く前に百均で購入した一件を使用してみました。


2.
「伊良湖」の艦橋です。ご覧の通り2層目3層目の翼部は気泡の所為で欠損が目立ちます。


3.
「伊良湖」、御案内の通り、組み立て説明図亡失です。なので、プラ板、プラ棒、汎用部品、真鍮棒と言った素材を用いて、資料を元に組み上げなければなりません。
この背景代わりの見開き図書は丸スペシャルの特務艦特集、載せているのは同梱素材類です。


4.
と言う事で、各種素材を用いての想像力豊かに工作開始です。先ずは02甲板?最上甲板?と艦橋天蓋をプラ板から作成。
また、プラ棒からデリックポストを作成。因みに、艦尾側のそれは後で位置を変える事になります。


5.
次は01,02甲板を支える柱をプラ板から作成です。


6.
続いて同じプラ板から、起重機の吊り上げ腕を。箱絵では中折れしているので、なるべくそんな感じになるように、角度が付く様に2枚に分けて作成します。これが後になってちと困った事になります。


7.
デリックポストが単なる棒柱だと寂しいので頂部の厚みを変える事にして、プラ管を別途購入輪切りにしました。で、それと5,6で切り出した部品等を両面粘着紙に貼り付けて一気に塗装です。


8.
ちと製作例を見つけてしまいました。したら、どうも甲板の色が明るいんですよね。木甲板かリノリウム張りと思われ、ならばどっちつかずの色合いにしようと、GMのクリーム色4号で塗装してみました。で、これから支柱を上甲板<->01甲板、01甲板<->02甲板の各々間に支柱を差し込んでいきます。


9.
偶には「あやなみ」の方も。
上部構造物が少ないので、支障の有無を確認程度で両面粘着紙で艦上に仮載せしてみました。


10.
構造物の載る部分の接着性を高める・・・部品同士が直に接する様にする・・・為、該当部位の塗装を負螺旋回しでがりがりと削りました。

H21/8/6展示 反りと気泡と離型剤(4)

(1)(2)(3)に続き、塗装の顛末です。


1.
前回迄は全く登場しませんでしたが、ここで突如として「プライマーサーフェーサー」を紹介します。
実は、写真の地に使っている「艦船模型スペシャル」等の模型製作関連書籍を読みますと、レジンを扱う際に、かなりの確率で「プラサフ」とか「サーフェイサー」とか「サフを吹く」と言った表現が出てきます。で、例えばヨドバシアキバとかさくらやのホビー売り場を物色しますと、タミヤやクレオスのブランドでその手のものが何種類か売っているのですよね。ここで、ご覧の「クレオス Mr.レジン プライマー・サーフェイサー」を導入する事にしました。ま、実験と言う事ですね。


2.
で、前回展示の実験的塗装をまたもや剥ぎ取り、この「プライマー・サーフェイサー」を塗布しまして、被覆を剥がした後の状況です。ご覧の通り、上部構造の大物が積まれる部分にはプラサフがかからないようにしています。
因みに、この製品、「プライマー」と「サーフェイサー」の2種類の成分で構成されているとの謳い文句です。前者は塗料のノリを良くするバインダーなる効果を、後者は弾き易いレジンの表面を覆ってしまうと言う事です。うーん、離型剤洗浄液の様な食わせ物でなければいいのだけれど。


3.
漸く、各大物部品に対してプラサフを吹き、更にその上から日本海軍呉工廠色で地の塗装終了です。最早実験状況には戻れません。

H21/7/25展示 反りと気泡と離型剤(3)

(1)(2)に続き、塗装の顛末です。


1.
(2)迄の結果、「伊良湖」の塗装は散々な結果となりました。この為、残存している塗料も剥がす事にしまして、廃歯ブラシでごしごし。更に、負螺旋回しでごりごりと。
それにしても、焦点は何処行っているのだ?この撮影は。


2.
つづいて、「あやなみ」の様に、「スタミナジェルサッサ」を使って廃歯ブラシでごしごしと。
これまた焦点は何処行っているのでしょう。


3.
もう、完全に実験状態です。
艦体の主塗装について、左舷を水性アクリル塗料の筆塗り、右舷を噴霧ラッカー塗料で。


4.
続いて塗装被覆の後、艦底色を。左舷を水性アクリル塗料の筆塗り、右舷をエナメル塗料の筆塗りで。
色が違うのは何故?いやなに、もう完全に実験なので、何れ剥がしてしまう事にし、まぁ雰囲気で選んだだけです。但し、左舷は水性アクリル、右舷は有機系のラッカーとエナメルにし、質的な傾向は合わせました。とは言うものの、被覆しない艦底色は単純に考えれば剥れない筈なので、あまり意味は無いのですが。


5.
さて、塗装被覆を剥がしてみました。うーん、左舷は問題無しだったのですが、右舷はご覧の赤←の部分が剥離してしまいました。残念。とは言え、洗浄前に比べると段違いです。
また、塗料の性質に関わらず、筆塗りの方がどうやら固着性が高い様に思われます。結局、離型剤洗浄液は何だったの?金返せ。
因みに、塗装被覆は概ね消磁電纜の彫刻より上には掛かっていませんでした。



6.
以上を踏まえまして、基本的には離型剤を落とすにはごしごしと洗剤で洗うべきと。
問題があります。細かい部品はどうするのよ?って事です。枝から切り離してあると洗浄中に落として、下水管へさよ〜なら〜って可能性があります。
なので、再び実験状態へ。
「あやなみ」の上部構造物等はばらけています。なので、実験にはうってつけ。フィルムの空き缶に洗剤を落としてその中に浸しました。蓋で密閉の上シェイクしそれをざるに上げて水洗いとしました。さて、向後の進捗で効果あるや否や。

H21/6/8展示 反りと気泡と離型剤(2)

(1)に続き、気泡と実際の塗装の顛末です。


1.
「伊良湖」にはかなり顕著な気泡が入ってしまっていました。黄色い▲▼の部分に気泡が有ります。
何れ買わねばならぬとは言うものの、使用可能なパテが無く、気泡の箇所も随分多いと言う事で、率直に言ってしまうと修正するの、面倒になってしまいました。と言う事で、今回は放置です。


2.
いよいよ、地の塗装です。
「伊良湖」の艦体はタミヤの噴霧式の日本海軍呉工廠色TS-66です。
「あやなみ」の艦体はGMのNo.9ねずみ色1号を筆塗りです。


3.
続いて地の塗装を被覆して、艦底色を塗装。「伊良湖」はタミヤXF-9ハルレッドを筆塗りで。「あやなみ」はGMのNo.10黒を筆塗りで。
ここで、早くも結果を暗示する事態が起きています。被覆膜を切り貼りする際に、鋏を「伊良湖」の後部甲板室上に落としてしまったのですが、何とその際に塗装が剥離してしまいました。やややっ!!と言う事で、艦体中央部の艦橋基部の表面をちょっと強く爪で引っ掻いたところ・・・。


4.
事態を予想しつつ「伊良湖」の被覆膜を剥がしたところ、案の定、舷側の塗膜が剥がれてしまいました。とほほほ。
特に左舷は酷く、塗膜が殆ど残らない体たらく。爪で軽く引っ掻いてもぽろぽろ行ってしまう有様で、前回展示の離型剤洗浄液による差異は全く見られませんでした。もうなんだかげんなりです


5.
意外な事に、「あやなみ」は殆ど剥離しませんでした。事実上▼の細長い一箇所だけです。
何故でしょうねぇ。「あやなみ」は廃歯ブラシと洗剤で洗浄しているのですよねぇ。
更に、GMとタミヤの塗料の違い、或いは筆塗りと噴霧の違い、或いは艦体の素材の違い、或いは製造後の経年数の違い、等の相違点が簡単に見出せてしまい、しかも複数或いは全部の要素の組み合わせによる可能性もあり、もう何だか判りません。ともあれ、離型剤洗浄剤が食わせ物である事だけは判りました。

H21/5/19展示 反りと気泡と離型剤(1)

レジン等の素材の場合、組み立て塗装に入る前に下準備がいろいろと必要です。
1. 離型剤残存による塗料の撥水 -> 離型剤洗浄剤や中性洗剤を用いて洗浄
2. 有機揮発成分の不均一蒸発による反り -> 加熱して整形
3. 成型枠への素材流し込み不徹底による気泡 -> パテやプラ板での補修
と言った問題とその解消です。


1.
今回試用した離型剤洗浄剤です。
左は秋葉原のK-oneで購入したガイアノーツのレジンウォッシュです。
右は、実際に洗浄剤を取分けて部品を浸す?没入?させるために調達した瓶です。と言っても、単に海苔の佃煮の容器の再利用ですが。


2.
離型剤に主艦体を浸しました。
「伊良湖」は左で艦尾を、中で艦首を、右で「あやなみ」は艦尾のみを浸しまして、単一の艦体で洗浄剤を使用有無の差をつけてみました。これは、実際に塗装して行く過程で効果の状況を確認しようと言う目論見です。


3.
更に、実験の変異をつけるべく、「あやなみ」は中性洗剤を廃歯ブラシに付けてごしごしと。
キットの説明書には離型剤洗浄液の話って書いてないのですよね。大抵、中性洗剤で洗えと書いて有ります。また、「艦船模型スペシャル」等でも、ママレモンバストイレ用を使用しているとか書いて有ります。なので、今回はカネヨ石鹸の「スタミナジェルサッサ」を試用してみました。まぁ、有り合わせなのですが。


4.
続いて反りです。
ご覧の通り、比較的艦体の大きい「伊良湖」は派手に反っています。レジンの艦船模型は、上部構造物等の都合の為か、大抵の場合、海老反り?仰け反り?方向に変形する様です。
この「反り」は、素材の有機成分が緩慢に揮発するのですが、それが不均一な退縮を招くために発生すると言う事で、購入後暫くは開けた大気環境下で放置して反り切ってしまうのを待つのがよろしいらしいです。もし、中途半端な時期に製作開始すると、製作中に反りが進んで、完成後にご覧の様な浮き上がり生じるだけでなく、最悪の場合、部品や塗装の剥離を来す事もあるらしいです。
その点では、10年やそこいら放ったらかしと言うのは正解だったかも知れません。


5.
取り敢えず、今回はアイロンで矯正してみる事になりました。
先ずは、何も考えず、左の様に「伊良湖」の艦底側から加熱したところ、何と反りの程度が促進されてしまいました。前記4.とあまり差異が見えませんが、右はその結果です。


6.
慌てて、左の様に甲板側から加熱し、矯正する方向に腕力でぐいぐいと曲げました。結果、右の様にまんまと矯正できました。未だ艦尾が浮いていますし、矯正が効き過ぎたのか艦央部にも隙間が出来てしまいました。後は加熱しては矯正の繰り返しで微修正ですね。


.
「あやなみ」です。艦型が比較的小さい為さほど目立ちませんが艦首が浮いています。なので、「伊良湖」同様に矯正です。これまた、1回目は艦央部が浮いてしまいましたので微修正の繰り返しです。

H21/4/25展示 製作対象の紹介

製作するのはピットロードのIJN給糧艦「伊良湖」と九九式のJMSDF護衛艦「あやなみ」です。


1.
先ずは両製品の梱包を。
箱の大きさは大差無しです。値段も「伊良湖」\3,800、「あやなみ」\3,200と大差無いです。この手の製品の価格は、今や\5kを切る製品は殆ど無く、有ってもとんでもない小型艦だったりしますので、今から見るとかなりお得と言えます。


2.
「あやなみ」の中身です。
箱の中の2つの袋の中には、艦橋、煙突、武装等の何れもランナーから切り離し済みのレジン部品が入っています。
組み立て図等は、如何にもワープロ、切り貼り、手書きと言った家内工業感が満ち溢れています。


3.
「伊良湖」の中身です。
箱の手前にある袋の中身は、ランナーに繋がったままの上部構造物です。
インジェクションの部品は、どうやら、汎用的な艤装品らしく、WW2のIJN駆逐艦主砲や魚雷発射管が含まれているのですが、同一部品が少なく、何かに流用する際、まとまった数を得るには大変そうです。
艦体はかなり大きいですね。箱の長さ方向とほぼ同寸位でしょうか?
で、お気づきでしょうか?組み立て図とか紙の同梱品が見当たらない。長年の玩弄の間に亡失してしまいました。なので、箱絵、実艦写真等を参考にして、多分『「伊良湖」にしか見えない何か』を作り上げていく事になりそうです。


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